エジプト考古学博物館(Egyptian Museum: EM)で大エジプト博物館用の文化財の調査を始めました。 

2010年5月1日

前回に引き続き、ADDの作業の進捗をお伝えします。

ADDでは、カイロにあるエジプト考古学博物館(EM)での作業を開始するために、昨年から調整を行ってきましたが、2010年4月11日より、遂にEMでの作業を始めました。現在、1階の中王国時代の展示スペースの一角にある小さな倉庫の文化財のデータ照合・測量・撮影をギャラリー内スペースで行っています。ギャラリー内で行っているため、観光客もADDの作業の様子を見学することができます。今回の調査対象となる文化財はほとんどがステラ(石碑)です。

作業は、カイロ近郊の文化財保管庫で行った調査とほぼ同様で、①EMの学芸員が、ADDが作成した大エジプト博物館収蔵予定文化財リストをもとに文化財を探し、②ADDスタッフが測量、③ADDスタッフが写真撮影、④GEM保存修復ユニットの保存修復師が文化財を梱包し木箱に詰める、⑤収集した文化財情報をデータベースに登録する、という手順で行っています。③の写真撮影は、3月に金子専門家が取り纏めた撮影マニュアルと同じ月に開催された写真撮影ワークショップのおかげで、写真の精度がかなり向上しました。特にライトの使い方は飛躍的に向上し、数ヶ月前にとった写真と比べるとその差は歴然です。EMのDocumentation Sectionの学芸員からも評価をいただき、ADDが撮影した文化財の写真はEMのデータベースに利用されることになりました。

 しかし、現場ではまだ解決しなければならない問題が山積みです。作業が円滑に進むよう、大エジプト博物館関係者と話し合い、一つずつ解決していく予定です。(鈴木 淳)

中王国時代の展示ギャラリーでの作業風景
ギャラリーでの撮影風景