GEM-JCプロジェクトが対象とする遺物には、8点の木製遺物(2点のリード遺物と6点のフォロー遺物)が含まれています。

リード遺物は、GEM-CCと日本人修復家が協力して作業する予定で、GEM-CCの修復家がフォロー遺物に対する保存修復作業を行う際に手本とするものです。フォロー遺物は、GEM-CCの修復家が保存修復処置をするもので、日本人修復家は必要時に技術的な支援を行う予定です。

5台の戦車のうち2台は、現在カイロのエジプト考古学博物館で展示されており、どちらも儀式用に特別に製作されたもので、躯体と車輪は曲木技法を使って製作され、表面は白色の下地に金板で装飾されていたと考えられています。

さらに、操縦席の装飾には石や金属といった複合材料が使われています。他の3台の戦車は、狩猟のために製作されたものと考えられています。そのため、儀式用と比べて、より実用的で装飾もシンプルです。しかし、躯体は曲木技法で作られており、接合部や装飾には儀式用の戦車と同じように石と金属が使われています。一方で、他の木製の対象遺物に関していえば、3台の儀式用ベッドは、胴体部分を形作るように加工した木材を組み立てて作られています。頂部には白色の下地に金板を施した装飾があります。また、ベッドの支柱はライオン、カバ、牡牛の頭でそれぞれ飾られており、石やガラス、象牙で飾られています。

木製遺物の状態に関していえば、現在ルクソール博物館で展示されている戦車は最近修復されたため現在は安定した状態です。しかし、他の4台の戦車は、発掘当時に補強のために塗布された蜜蝋が、遺物の美術的特性に影響を与えるほどひどく目立つようになっています。戦車と儀式用ベッドは、様々な箇所での歪みや破損につながる乾燥収縮に悩まされています。また、表面の金箔装飾は剥離し、石や金属の装飾部分も剥げ落ちています。これら全ての劣化がひどく目立っています。

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