大エジプト博物館用の文化財の移送が始まりました。 

2010年5月1日

今回と次回はITデータベース専門家の鈴木さんから考古データベース部門(ADD)の作業の進捗状況を報告してもらいます。

2010年1月27日より、カイロ近郊の文化財保管庫にある大エジプト博物館(GEM)展示用の文化財の移送が始まりました。

文化財の移送作業はエジプト側の責任で行われていますが、プロジェクトのADDスタッフもこの作業に立ち会っています。作業では、ADDが既に調査を完了した文化財を、GEM保存修復ユニットの保存修復師が梱包し木箱につめ、トラックで大エジプト博物館保存修復センター(GEM-CC)に運びます。ADDスタッフは、移送中また移送後に文化財の所在がわからなくならないように文化財と共に移動し、それぞれの文化財がどの箱にあり、GEM-CC内のどの部屋に運ばれたのかをADD作成の移送用シートに書き込んでいます。その後、その情報はプロジェクト事務所にてデータベースに登録されています。

また、ADDは梱包・移送現場で働く保存修復師やエジプト考古学者の作業が円滑に進むよう、すでにADDによる調査が終わって移送する準備が整っている文化財のリストと写真をエジプト側の関係者全員に提供しています。

現場では、作業に必要な資材不足など準備が遅れたり、作業現場でエジプト人同士が衝突するなどのトラブルが多々ありましたが、4月末現在で、テルバスタ(Tell-Basta)90点、マンスーラ(Mansoura) 1,769点、ミニア(Miniya)309点、サッカラ(Saqqara)の一部 632点の文化財がGEM-CCに移送されました。現在、Gizaとカイロ・エジプト考古学博物館の文化財を移送しており、今後はSaqqaraの文化財も移送する予定になっています。それにあわせて、ADDはこれからも移送作業を支援していきます。(鈴木 淳)

 
移送用のシートに文化財の所在情報を書き込んでいるADDスタッフ
移送担当の保存修復師に番号などの情報を提供