
8月17日から23日まで日本から3名の講師を招聘し、大エジプト博物館保存修復センターにて文化財の診断技術・分析法研修IIを行いました。
講師
桐野 文良:東京芸術大学大学院 美術研究科 文化財保存学専攻 保存科学研究領域 教授
藤澤 明:帝京大学文化財研究所 講師
増渕 麻里耶:東京文化財研究所 文化遺産国際協力センター アソシエイトフェロー
保存修復センターの各ラボから10名の研修員と7名のオブザーバーが参加しました。
科学分析は、特定の物理的・化学的現象を利用しているため、得られる結果は現象に依存した限られた情報でしかありません。文化財の診断・分析を行う際は、目的に応じて複数の手法を選択し総合的に結果を考える必要があります。本研修は、文化財の診断技術・分析法を学び、単一の分析法だけに頼らず必要に応じて分析法を選択し、得られた結果を総合的に判断できる人材を育成することを目的としました。
文化財の診断・分析において、的確な診断・分析計画を立案できる人材を育成する一環として、観察だけでは明らかにできない事項について、研修員が必要に応じてX線透過撮影、蛍光X線分析(XRF)、X線回折法(XRD)の手法を使い、目的に合った的確な結果の取得が可能になることを今回研修の達成目標としました。
第二回目となる今回の研修では研修員の殆どがX線を取り扱うのが初めてで不慣れなところが多かったためX線機器取扱い安全の理念を定着させる必要がありました。
X線透過撮影の基礎・XRFの基礎と文化財への応用・XRDの基礎と文化財への応用などの講義を実施しました。その中、実習形式で研修員を二組に分けて実際にサンプルをXRF・XRDで分析し、それにより得たデータを解析しました。このように実習を進めることで研修生が実践を通してこの理念を定着させることを主眼としました。



