8月25日から31日まで日本から5名の講師を招聘し、大エジプト博物館保存修復センターにて無機物研修Ⅰ-金属資料の状態調査を行いました。

講師

及川 崇: 保存修復専門家

桐野 文良: 東京芸術大学大学院 美術研究科 文化財保存学専攻 保存科学研究領域 教授

藤澤 明: 帝京大学文化財研究所 講師

増渕 麻里耶:東京文化財研究所 文化遺産国際協力センター アソシエイトフェロー

邊牟木 尚美:金属保存修復専門家

保存修復センターの各ラボから10名の研修員と5名のオブザーバーが参加しました。

保存修復研修では、単に修復技術を移転するだけではなく、ドキュメンテーションと状態調査、保存修復方針の決定、保存科学との協力体制、調査・修復報告書の作成といった保存修復活動全体に関わる人的・物理的システムの構築を目的とします。

本研修では金属資料の状態調査をテーマとしました。金属資料は、ひとたび発掘されると、大きく環境が変化し、腐食をはじめとする劣化が急激に進行することがあります。そこで本研修では、金属資料の状態を観察および自然科学的調査により評価し、保存修復処置に必要な情報を得ること、およびそのために必要な保存修復専門家と分析専門家が協力関係を構築することに主眼を置きました。

状態調査票作成を始め、写真撮影、各種観察法(光学顕微鏡、電子顕微鏡)、機器分析(蛍光X線分析、X線回折分析)に関して研修生が実践を通してこの理念を定着できるように実習を進めました。また、研修員にサンプルや必要な道具を配分し、3つグループに分け、各ドキュメンテーションを通して、全員交替で各機器分析をしました。

ドキュメンテーションについて説明を行う邊牟木専門家
撮影によるドキュメンテーションを学ぶ研修員
データ解析を行う研修員
XRF分析を行う研修員