日本とエジプトの専門家で構成する3部門(染織品、木材、壁画)の各チームでは、遺物に赤外線や紫外線など様々な波長を当てて状態を撮影する「マルチスペクトル撮影」による分析を進めてきました。同撮影により、特定の物質や化合物の有無を確認できるのです。

染織品チームでは、巧みな職人技で作られたツタンカーメン王が着ていたチュニックを分析。装飾に使われた顔料の構成を調べることができました。同撮影で得た様々な情報は、チュニックの製作方法や染料を知るために大いに役立つことでしょう。近い将来、新しい考古学的発見につながるかもしれません。また、GEMで展示される前の今がこのような貴重な分析ができる最後のチャンスになるかもしれません。

同チームは、広い視野を持ち既存の研究を参考にしながら、染織品に対して効率的だと思われる分析方法を積極的に採用してきました。そして必要な資機材を調達し、準備を整えました。
現在は撮影の最終段階に入り、今後、分析結果を解析して論文などにまとめていきます。分析結果が更なる考古学的研究の発展に活かされることを心待ちにしています。