2018年4月22日、GEM-JC プロジェクトチームは最後の移送遺物である二輪馬車とベッドをエジプト考古学博物館から大エジプト博物館(GEM)に移送しました。同チームは移送を始める前にタリハール広場のエジプト考古学博物館に通い、二輪馬車とベッドの状態記録を取りました。記録作業終了後、同チームは状態調査を続け、その結果、エジプト考古学博物館のベッドの展示ケース内に虫がいた痕跡を確認しました。そこで殺虫処置チームは、ベッドを大エジプト博物館保存修復センター(GEM-CC)に移送する前に必要に応じて燻蒸を行うことも想定しながら、注意深く隔離とモニタリングを行いました。

移送前の段階として、移送チームはベッドと二輪馬車の梱包準備を始めました。はじめに、ベッドと二輪馬車の梱包を行う前に保存修復家によって応急処置が行われました。エジプト考古学博物館の階段が狭いため二輪馬車を1階に下ろす安全な輸送経路を考え、日本通運の専門家と一緒に1階に下ろして梱包作業を行いました。

GEM-JCプロジェクトはエジプト考古省と国際協力機構(JICA)との共同プロジェクトです。同プロジェクトは、エジプトと日本の専門家が共同でGEMに移送して展示する予定となっている72点の遺物を対象に保存修復の技術移転を行っています。72点の遺物はGEMの開館にとって重要であり、かつ技術移転に適したものが選ばれています。