当プロジェクトでは、対象遺物の損傷箇所を修復するだけでなく、損傷や劣化を防ぐ「予防的修復」を取り入れた技術移転も行っています。染織品の対象遺物には脆弱かつ繊細な物が多く、日本とエジプトの専門家たちは、展示しながら長期間保存できる支持具(マウント)作りに多くの時間を費やしてきました。そしてついに、国際水準を満たす3タイプのマウントが完成しました。精巧な技術で作られたツタンカーメン王の染織品を展示するために特別なマウントもデザインしました。
マウントを使用することで、来場者が古代エジプト人の工芸技術の高さをより間近で見られるだけでなく、対象遺物を内側と外側から支えることで、形状を保ちつつ、周囲の温湿度変化による劣化から遺物を守ることができるのです。
外側のマウントは日本の製作会社からGEM-CCへと長い旅を経て到着しました。発送の手続きは2019年7月から始まり、今回のマウントの到着ですべてが揃いました。遺物とマウントが最終目的地である、ツタンカーメン・ギャラリーに運ばれて、来場者に公開されるまであと一歩です。