
去年6月末にGEM-CCへ移送されたツタンカーメン王の天蓋の徹底した分析とドキュメンテーションの作業がエジプトの専門家により順調に行われています。天蓋は、GEM-CCへ移送された最後の木材対象遺物ということもあり、そのプロセスは比較的速やかに進みました。
専門家チームは、デジタルマイクロスコープを活用した樹種同定(*)、XRF分析、ドキュメンテーションなどを行っており、分析の作業完了まで残すところあと少しです。専門家たちは考古学的な資料を参考に、天蓋の各部品が正しい位置に取り付けられているかを確認しています。そうすることで、考古学的なインテグリティ(完全性)が確保できるだけでなく、長期にわたる保存を可能にし、次世代へと遺物を受け継ぐことができるのです。
同チームでは、分析で集めたデータを活用し、GEMの来場者にこの遺物の歴史的背景を魅力的に伝える展示方法も検討をしています。
*木材の種類を判別するため、顕微鏡下で細胞組織を観察することで種類を知る方法。